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『審判目線』を読んで。

Posted by Unknown On 2011年10月9日日曜日 0 コメント
審判目線 面白くてクセになるサッカー観戦術
審判目線 面白くてクセになるサッカー観戦術

を読んだので、メモ・感想を残しておきます。

W杯などで導入されているレフェリーの無線システムは電波法の問題で日本では使えないらしい。(p.73)

2004年に設立されたJFAレフェリーカレッジでは、判定に説得力を持たすための「身体表現」を養うために講義に演劇を入れた。(p.107)

日本サッカー界におけるファール基準と世界基準で特に大きな隔たりがあるのは、ホールディング、遅延行為、そしてファールスローの3つ。(p.132)

約400万ドルを掛けて、主にW杯審判候補者の審査・強化のために2008年から2年半にわたり審判援助プログラム(Refereeing Assistance Programme = RAP)が実施された。プログラムは、①審判技術の指導・強化のための「テクニカル」、②体力・走力などを向上するのための「フィジカル」、③怪我の予防・ケアの「メディカル」、④心理面をサポートする「メンタル」、そして⑤気功や太極拳によって試合中の立ち振る舞いや選手マネジメント能力を高めることを目指す「エナジー・パフォーマンス」から成る。(pp.178-179)

2010年W杯南アフリカ大会における判定(pp.179-181):
  • 得点に関する判定は160回。そのうち155回(正しくゴールと認めたのが142回、正しくゴールと認めなかったのが13回)が正しく判定されていた。(96.88%)
  • 枠内シュートは663本。そのうち5本がゴールラインを越えたか否か判断が難しかったが、そのうち4回は正しく判定された。正しく判定されなかった1本が、あのイングランドのランパードが決勝トーナメント1回戦のドイツ戦で放った幻のシュート
  • ペナルティーエリア内でファウルか否か判断が求められたのは65回。そのうち15回がファウルで、全て正しくPKと判定された。ノーファウルと判断された50回のうち45回は正しかったが、5回はPKと判定すべきだった。
  • 1試合あたりの警告数は3.82、退場数は0.27。※2006年ドイツ大会は、警告数4.80、退場数0.44。2010年J1は警告数3.25、退場数0.15。
  • 大会中の負傷のうち16%がファイルプレーによるもの。※2006年ドイツ大会は40%、2002年日韓大会は37%。

2010年W杯南アフリカ大会における審判(p.183):
  • 主審の1試合の平均走行距離は、前半5.21km、後半4.97km、合計10.18km。
  • 副審の1試合の平均走行距離は、前半2.79km、後半2.68km、合計5.47km。
  • 大会中、審判に対して怪我予防などの為に行ったトリートメントの回数は265回。※2006年ドイツ大会は199回。
  • 同じく大会中、審判が受けたマッサージの回数は489回。※2006年ドイツ大会は266回。
  • その結果、審判の負傷はドイツ大会の14回(試合中6回、練習中8回)から4回(試合中2回、練習中2回)に減った。

日本人審判で初めてW杯に出たのは丸山義行で1970年メキシコ大会。日本人主審として初めてW杯で笛を吹いたのは1986年メキシコ大会・1990年イタリア大会の高田静夫。そして1998年フランス大会の岡田正義、2002年日韓大会の上川徹、2006年ドイツ大会の上川徹・廣嶋禎数と続く。(pp.206-208)


やはりプレーを文字を読んで理解してそのプレー場面を想像するより、映像があった方が分かりやすいし、何より面白い。次回、同じような著書を出すならDVD付きなどいいかもと思った。最後の方には、W杯審判に上り詰めるまでのプロセスが書いてあって興味深かった。かなり競争は厳しいみたい。それとレビューは関東近郊開催の試合が多いから、他の地方も増やしてほしい。


松崎 康弘(2011)『審判目線:面白くてクセになるサッカー観戦術』東京:講談社

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